作家別作品集
北原亜以


著者略歴
東京生れ。石油会社、写真スタジオに勤務後、コピーライターとして広告制作会社に入社。

その間、創作活動を開始し、1969(昭和44)年「ママは知らなかったのよ」で新潮新人賞、

同年「粉雪舞う」で小説現代新人賞佳作を受賞。

’89(平成元)年『深川澪通り木戸番小屋』で泉鏡花賞、

’93年『恋忘れ草』で直木賞、

’97年『江戸風狂伝』で女流文学賞をそれぞれ受賞する


宮部みゆきの江戸物もいいですが、北原亜以子も多作で、これから読むのが楽しみな作家です。

とりあえず読んだ分だけアップします。アマゾンによると全部で58件あるようです。

恋忘れ草 ☆☆☆
新進気鋭の女流絵師歌川芳花ことおいちは出世作「竹林七美人図」で、彫り師を勤めた才次郎と恋に落ちる。一途に才次郎を求めるおいちだが、才次郎には女房と子供が待つ家があった。江戸の町で恋と仕事に生きたキャリアウーマンたちの哀歓を描き、直木賞をとった珠玉の連作集。
(出版社の内容紹介より)表題作のほかに「恋風」「男の八分」「後姿」「恋知らず」「萌えいずる時」北原の江戸物は宮部みゆきとは趣が異なるが、好きです。

深川澪通り木戸番小屋 ☆☆☆☆
川沿いの澪通りの木戸番夫婦は、人に言えない苦労の末に、深川に流れて来たと噂されている。思い通りにならない暮らしに苦しむ人々は、この2人を訪れて知恵を借り、生きる力を取りもどしてゆく。傷つきながらも、まっとうに生きようとつとめる市井の男女を、こまやかに暖かく描く、(出版社からの内容紹介より)
泉鏡花賞受賞の名作集。「深川澪通り木戸番小屋」「両国橋から」「坂道の冬」「深川しぐれ」「ともだち」「名人かたぎ」「梅雨の晴れ間」この夫婦のあり方は、とても魅力的。

深川澪通り燈ともし頃 ☆☆☆☆
江戸で5指に入る狂歌師となった政吉は、野心のあまり落ちこぼれて行くが、唯一救いの燈がともっていて……。幼い頃親を失ったお若は、腕のよい仕立屋になれたが、1人の心細さがつのる時は、まっすぐに深川澪通りに向って……。辛い者、淋しい者に、無条件に手をさしのべる木戸番夫婦を描く、
木戸番小屋の第二弾

慶次郎縁側日記     ☆☆☆
ご存知、元南町奉行所同心隠居した森口慶次郎の周囲に起るさまざまな出来事を描いた短編集。
テレビではNHKの金曜時代劇で高橋秀樹が、石橋蓮司が慶次郎の身の回りの世話をする女房役に。味のある原作ですね。

花冷え ☆☆☆
紺屋の大店の末娘おたえは、幼くして両親を亡くし、叔父の店で育った。奉公人の弥吉は、5つ年上の型付け職人。いい仲になった2人を、叔父は夫婦養子にと考えていたのだが……。ささやかな幸せを求め健気に生きている、そんな女の一途な想いを情感溢れる筆致で細やかに描いた、珠玉の時代小説7篇を収録。
(出版社からの内容紹介より)「花冷え」「虹」「片葉の葦」「女子豹変す」「胸突坂」「古橋村の秋」「待てば日和も」北原の江戸物はやっぱりいいですね。

贋作天保六花撰   ☆☆
金が敵の世の中ならば、強請りたかりも渡世の智恵。美人局はお手のもの、女が放ってはおけない色男・片岡直次郎。何の因果か貧乏御家人の入り婿に。妻のあやのはめっぽう美人の世間知らず。北原亜以子版・六花撰の面々がおりなす江戸悪党譚。
これはあんまりでした。